Groqは最新の資金調達ラウンドで6億4000万ドルの資金調達に成功しました。これは、世界最大の資産運用会社であるBlackRock Inc.のファンドがリードインベスターとなり、テクノロジー大手シスコと韓国の電子機器大手サムスン投資部門からの強力な支援も得て実現しました。

この資金調達により、Groqの評価額は一気に28億ドルに急騰し、投資家がその技術と将来性に対して高い評価を与えていることを示しています。Groqの台頭は、長年AIチップ市場を独占してきたNVIDIAにとって、強力な挑戦となることは間違いありません。

さらに注目すべきは、Groqが最近、世界的に有名なAIの第一人者であり、チューリング賞受賞者であるYann LeCun氏を技術顧問として迎えることを発表したことでしょう。LeCun氏の参加は、競争の激しいチップ業界においてGroqにとって大きな力となり、同社の技術革新への意欲を示しています。

しかし、NVIDIAに挑戦する道は容易ではありません。アナリストの中には、Groqは大きな可能性を示しているものの、NVIDIAの市場地位を本当に揺るがすためには、製品の成熟度、エコシステムの構築、大規模な商業化など、多くの課題を克服する必要があると指摘する人もいます。

以前、Groqは業界の注目を集める新機能を発表しました。ユーザーは、同社のウェブサイト上で直接大規模言語モデル(LLM)を使用し、ほぼリアルタイムでクエリを実行したり、さまざまな複雑なタスクを実行したりできるようになりました。

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Groqはこのサービスを先週ひっそりと開始したとのことです。実測によると、Groqの応答速度は驚異的な毎秒約1256.54トークンに達しており、ほぼリアルタイムでの応答と言えます。これは、同社が4月に発表した毎秒800トークンと比べて大幅な向上を示しており、その技術の急速な進歩が見て取れます。

GroqのCEOであるJonathan Ross氏はインタビューで、「私たちの技術は、人々がLLMを使用する方法を根本的に変えるでしょう。この前例のない速度を一度体験すれば、ユーザーはLLMの無限の可能性に気づくでしょう」と述べています。

現在、Groqのウェブサイトでは、デフォルトでMetaがオープンソース化したLlama3-8b-8192モデルを使用していますが、より強力なLlama3-70bや、GoogleのGemma、Mistralの一部モデルにも対応しています。Ross氏は、今後、さまざまなユーザーのニーズを満たすために、対応モデルの範囲をさらに拡大していくことを明らかにしています。

実際に体験してみると、Groqは速度だけでなく、機能の多様性と柔軟性も優れています。職務説明書の生成、記事の作成、リアルタイムでの修正など、驚くべき速度で実行できます。さらに特筆すべきは、Groqが音声入力機能に対応しており、OpenAIの最新のWhisper Large V3モデルを使用して音声認識と翻訳を行っていることです。

業界の専門家によると、Groqがこれほど高い性能を実現できたのは、同社が独自開発した言語処理ユニット(LPU)によるところが大きいとのことです。従来のGPUと比較して、LPUはLLMタスクの処理において、より高い効率と低い消費電力を実現しています。Groqによると、その技術はほとんどのワークロードにおいて消費電力がGPUの10分の1に過ぎず、これはGPUが中心となっている現在のAI計算の状況に大きな挑戦を突きつけています。サービス開始から16週間で、Groqは28万2000人を超える開発者を獲得しました。また、OpenAIプラットフォームで開発されたアプリケーションを簡単に移行できるよう配慮しており、開発者の利用障壁をさらに低くしています。

これほど目覚ましい成果を上げたGroqは、本当に既存のAI大手企業の地位を揺るがすことができるのでしょうか?これに対して、Ross氏は自信満々に答えています。彼は、来年までに、世界の推論計算の半分以上がGroqのチップで行われると大胆に予測しています。

しかし、慎重な見方をするアナリストもいます。彼らは、Groqは技術的に大きな可能性を示しているものの、既に確立された業界の巨人たちに挑戦するには、市場認知度、エコシステムの構築、大規模な商業化など、多くの課題が残っていると指摘しています。

いずれにしても、Groqの登場は、AI業界に新たな活力を吹き込んだことは間違いありません。VentureBeat 2024 Transformカンファレンスでは、Ross氏が基調講演者として登壇し、Groqの今後の計画についてさらに詳しく発表する予定です。

AI技術は日進月歩で進化を続けており、Groqのイノベーションは業界全体に新たな可能性をもたらしています。それは、LLMアプリケーションの広大な将来性を示しただけでなく、AIの普及と効率的な展開に向けて新たな方向性を示しました。近い将来、AI技術がより高速で、より低コストで、より高い効率で、私たちの日常生活や仕事に統合されることを期待する理由があります。