OpenAIはAIチップ分野への参入を正式に発表し、チップ大手Broadcomとの提携により、初のカスタムAI推論チップを開発する計画です。この戦略的措置は、OpenAIのサプライチェーンにおける自立への重要な一歩となるだけでなく、現在のAIチップ市場におけるNVIDIAの一強体制を直接的に狙うものです。

ロイター通信の報道によると、OpenAIは既に約20名からなる専門の研究開発チームを結成しており、その中にはGoogleのTensor Processing Unit(TPU)開発に携わった主席エンジニアも含まれています。このプロジェクトでは、Broadcomがチップ設計を担当し、TSMCが製造を担当し、2026年の量産開始を目指しています。注目すべきは、OpenAIは以前、チップファウンドリを設立することを検討していましたが、コストが高すぎるため、最終的にチップ設計戦略に転換したことです。

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画像出典:AI生成画像、画像ライセンス提供元Midjourney

OpenAIのこの動きには、AIチップ供給不足問題の緩和と運用コストの削減という2つの重要な推進要因があります。同社のCEOであるサム・アルトマンは、現在、プロセッサ不足と高騰するハードウェアコストの二重の圧力に直面していると公に述べています。NVIDIAのGPUを最も多く購入する企業の一つであるOpenAIは、2020年以来、1万個のNVIDIA GPUを搭載したMicrosoftのスーパーコンピュータに依存して、生成AI技術を開発してきました。

NVIDIAへの依存を軽減するために、OpenAIは多様な供給戦略を探求し始めており、Microsoft Azureクラウドプラットフォームを通じてAMDチップを使用してモデルのトレーニングを行う計画です。この決定は、AMDが昨年発表したMI300 AIチップの画期的な進歩と無関係ではありません。

今回の提携はNVIDIAの反感を招く可能性がありますが、OpenAIは、特に次世代Blackwellチップの使用において、既存のチップメーカーとの良好な関係を維持すると述べています。発表後、Broadcomの株価は急騰し、AMDも上昇を維持しており、市場はAIチップ分野における競争激化に対して楽観的な見方を示しています。

この戦略転換は、OpenAIがMeta、Googleなどのテクノロジー大手による自社開発チップ陣営に加わったことを意味します。しかし、GoogleのTPUやMicrosoftのMaia100などの成熟した製品に対抗するには、OpenAIはAIチップ分野で地位を確立するために、多大なリソースを投入する必要があります。市場では、この措置がAIチップの供給体制を再構築し、業界の健全な競争を促進すると広く見られています。