レッドハット社は先日、エンタープライズレベルのLinux AIプラットフォームであるRHEL AIの最新バージョン1.3を発表しました。このバージョンでは、IBM Granite大規模言語モデル(LLM)のサポートが追加され、Intel Gaudi3アクセラレーターのサポートプレビューも提供されています。このアップデートにより、レッドハットのサービスパートナーとシステムインテグレーターは、企業がAIアプリケーションをより効果的に探索・統合できるようになり、新たなビジネスチャンスが生まれます。

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レッドハットのAIビジネス部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるジョー・フェルナンデス氏は、サービスパートナーとシステムインテグレーターが、企業が様々なアプリケーション事例を実現する上で重要な役割を果たしていると述べています。同氏は、生成AIの複雑性から、これらのパートナーが顧客にコスト効率の高いソリューションを提供できると指摘しました。レッドハットは、より小さなモデルを使用することでコストを削減し、モデルと顧客データやユースケースの統合の複雑さを簡素化し、これらのモデルをハイブリッド環境に柔軟に展開できるようにすることを目指しています。

RHEL AI 1.3版は、企業向けアプリケーションにおける生成AIモデルの開発、テスト、実行のために設計されています。今回のアップデートには、IBMがオープンソースライセンスで提供するGranite大規模言語モデルのサポートが含まれており、データ準備にもオープンソース技術を活用しています。ユーザーは、IBMと共同開発されたInstructLabモデルアライメントプロジェクトを通じて、これらのコンポーネントを使用して、パッケージ化され、起動可能なRHELイメージを作成し、ハイブリッドクラウドでの単一サーバー展開を行うことができます。

新バージョンは、Granite 3.08bの英語言語ユースケースをサポートしており、開発者プレビューとして、非英語言語、コード生成、関数呼び出し機能の利用が可能になります。これらの機能は今後のバージョンで完全にサポートされる予定です。さらに、RHEL AIはIBM研究所のDoclingオープンソースプロジェクトにも対応しており、一般的なドキュメント形式をMarkdown、JSONなどの形式に変換して、生成AIアプリケーションやトレーニングに使用することができます。新バージョンは、コンテキストを認識したチャンク化機能を備えており、ドキュメントの構造と意味要素を考慮することで、生成AIのレスポンス品質の向上を目指しています。

今回のリリースでは、Intel Gaudi3アクセラレーターのテクノロジープレビューサポートも追加されました。ユーザーはリアルタイム処理において複数のリクエストを並列処理し、処理中にLLMパラメーターを動的に調整できます。将来のRHEL AIバージョンでは、Doclingのより多くのドキュメント形式のサポート、強化された検索生成パイプラインの統合、InstructLab知識チューニング機能などが追加される予定です。

要点:

🔹 RHEL AI 1.3版では、IBM Granite大規模言語モデルのサポートが追加され、企業アプリケーションの能力が向上しました。

🔹 新バージョンでは、Intel Gaudi3アクセラレーターのサポートプレビューが提供され、リアルタイム処理能力が強化されました。

🔹 Red Hatは、AIモデルのコストと複雑性を削減し、柔軟なハイブリッドクラウド展開を推進することに取り組んでいます。