OpenAIやAnthropicに次ぐ注目を集めるAIスタートアップ企業、Cohereの7月時点での評価額は55億ドルに達しました。「Attention Is All You Need」論文の共著者である同社の共同設立者は、大規模言語モデル(LLM)革命の引き金となったとされるこの論文の著者でもあります。

トロントとサンフランシスコに拠点を置くCohereは、他の企業のように話題の消費者向けチャットボットを展開するのではなく、企業顧客向けのAIソリューションに特化しています。Anthropicが先月、PalantirとAWSとの間で国防顧客へのAI販売契約を締結したことがニュースで大きく取り上げられましたが、TechCrunchが入手した情報によると、PalantirはCohereのパートナー企業でもあります。Palantirが公開した動画によると、CohereのモデルはPalantirの複数の(非公開の)顧客にすでに導入されているとのことです。

人と機械の協働

画像出典:AI生成画像、画像ライセンス提供元Midjourney

この動画は、Palantirが2024年11月に開催した初の開発者会議DevCon1で公開されたプレゼンテーションの一部です。Cohereのエンジニアで元Palantir社員であるBilly Trend氏は、動画の中でCohereが「すでにPalantirの顧客にAIを展開している」と述べています。

「だからこそ、Palantirとの協業に興奮しているのです。顧客へのサービス提供方法について詳しく説明します」とTrend氏はプレゼンテーションで述べています。

動画では、Trend氏は主に技術的な詳細について説明しています。Palantirの顧客名については何も明かされていませんが、ある顧客がデータの保管場所について「非常に厳しい制限」を設けており、アラビア語での推論を希望していた事例を紹介しています。「これはCohereにとって絶好の機会です。まさに私たちの得意分野だからです」と彼は述べています。

Trend氏によると、Palantirの顧客はFoundryプラットフォーム内の「計算モジュール」を通じて、Cohereの最新のAIモデルにアクセスできるということです。注目すべきは、FoundryがPalantirの主要プラットフォームの1つであり、主に企業顧客向けであるのに対し、Palantirのもう1つの古いプラットフォームであるGothamは、国防・情報機関向けに設計されている点です。そのため、どの組織がPalantirを通じてCohereのAIを使用しているのかは不明ですが、企業顧客である可能性が高いことが示唆されています。

Palantirはエアバスなどの様々な大企業と協力していますが、米国国防・情報機関との緊密な協力関係も公表しており、最近では国防技術分野の再構築に関する宣言を発表しました。

Cohereのウェブサイトや発表内容を調べたところ、富士通などの主要テクノロジー企業との提携を発表しているものの、Palantirとの取引については一切触れていませんでした。

TechCrunchはCohereに対し、そのAIがJSや諜報関連の用途に使用されているかどうか、またそのような展開に関するCohereの一般的なポリシーについて質問しましたが、Cohereはコメントを拒否しました。

Palantirもすぐに回答しませんでした。OpenAIも国防技術分野で採用されており、今月初めにはAndurilとの提携が発表されました。

結論として、CohereとPalantirの協業は、AIのエンタープライズレベルでの応用可能性が徐々に明らかになってきていることを示しており、これらの協業関係は新たな倫理的および安全上の問題を引き起こす可能性があり、継続的な監視が必要です。