OpenAIの共同創設者の一人、イリヤ・サツケバー（Ilya Sutskever）が率いるAIスタートアップ企業SSI（Safe Superintelligence）は、現在新たな資金調達交渉を進めており、企業価値は200億ドルに達すると予想されています。これは、昨年9月の評価額の4倍に相当します。SSIはまだ収益を上げていませんが、この巨額な評価額は、変革的なAI技術開発の可能性に対する投資家の信頼を反映しています。
他のAI企業とは異なり、SSIはChatGPTのような商業製品の優先的なリリースではなく、「安全な超知能」の研究開発に注力しています。同社は現在、純粋な研究段階にあり、人工超知能（ASI）の実現を目指しています。この「ASI」という目標が、サツケバー氏が2024年5月にOpenAIを退社した理由の一つである可能性もあります。彼のビジョンは、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン（Sam Altman）氏のますます商業化が進む方向性と一致していなかったためです。
ロイターの報道によると、資金調達に関する協議はまだ初期段階にあり、具体的な条件は変更される可能性があります。投資家の強い関心の背景には、サツケバー氏の深いAI研究経験があります。昨年12月のNeurIPS AIカンファレンスで、サツケバー氏は「データピーク」問題、つまりAIのトレーニングに使用できるデータは限られているのに対し、計算能力は増え続けているという問題について言及しました。彼はトレーニングデータを化石燃料に例え、最終的には枯渇すると示唆しました。
この問題を解決するために、サツケバー氏は、独立して思考し推論できるAIエージェント、合成データの生成、推論過程における計算能力の強化などを、将来の潜在的な解決策として挙げています。OpenAI、Anthropic、Google、Deepseekなどの他の大手AIラボも、同様の解決策を探求しています。昨年11月、サツケバー氏は、AI業界が新たな「発見の時代」に入ったと述べ、規模の拡大は依然として重要であるものの、「正しいものを拡大する」必要があると強調しました。
要点：
💰 SSIの企業価値は、収益がないにもかかわらず、200億ドルに達すると予想されています。
🔬 SSIは安全な超知能の開発に注力しており、商業製品を優先していません。
📊 サツケバー氏が提起した「データピーク」問題が、新たな解決策の模索を促しています。
