競争の激しい市場環境の中、デル社(Dell)は今週木曜、2026会計年度の業績見通しを発表し、調整後粗利益率の低下を予測しました。これは主に、人工知能(AI)サーバーの生産コスト上昇が原因です。さらに、デルのパーソナルコンピュータ事業は需要低迷の影響を受けて低調な業績となっています。
テキサス州ラウンドロックに拠点を置く同社は、100億ドルの自社株買い増しを発表したにもかかわらず、時間外取引で株価が約2%下落しました。デルのAIサーバーは、NVIDIAの強力なチップを搭載し、大規模言語モデル(チャットボットChatGPTなどを支えるもの)のトレーニングに必要な高い計算需要に対応することを目指しています。デルは、AIサーバーの年間収益を150億ドルと予測しており、1月31日時点の980億ドルから53%増加すると見込んでいます。しかし、高額な生産コストが会社の利益を圧迫しており、調整後年間粗利益率は約100ベーシスポイント低下すると予想されています。
さらに、デルはAIサーバーの受注残高が約90億ドルに達し、イーロン・マスク氏のxAI社と提携したことも発表しました。コスト圧力に直面しているものの、デルは調整後1株当たり利益を9.30ドルと予測しており、アナリスト予想の9.23ドルを上回っています。年間収益の中央値は1030億ドルと予想され、市場予想と一致しています。
しかし、デルは、米国による中国製品への広範な貿易関税が価格上昇のリスクを引き起こす可能性にも注目しています。デルは関税行政命令を見直し、同社の事業運営と顧客への影響を評価しており、これらの発表がまだ価格戦略に影響を与えていないと強調しています。デルの最高執行責任者(COO)ジェフ・クラーク(Jeff Clarke)氏は、「軽減できない関税は、投入コストとしてみなされます。投入コストが上昇すると、価格調整が必要になる可能性があります」と述べています。
IDC(インターナショナルデータコーポレーション)の最新の調査によると、2025年以降の従来型パーソナルコンピュータ市場の予測は、米国の関税と市場センチメントの低迷の影響を受け、さらに下方修正されると予想されています。
1月31日締めの第4四半期の売上高は239億3000万ドルで、市場予想の245億6000万ドルには届きませんでしたが、調整後1株当たり利益は2.68ドルで、予想の2.53ドルを上回りました。デルのインフラストラクチャソリューション部門の売上高は22%増の113億5000万ドル、クライアントソリューション部門の売上高は1%増の118億8000万ドルでした。