中国科学技術大学から朗報が届きました。同大学の孫成研究グループと協力者は、肝臓がんの再発を予測する「TIMES」スコアシステムを開発し、公開して無料で利用できるAI診断ツールとして提供することに成功しました。この成果は、北京時間3月13日0時に国際学術誌「ネイチャー」に掲載されました。

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肝臓がんは、世界中でがん関連死の第3位の原因であり、手術切除後の再発率は70%にも上ります。肝臓がんの再発を正確に予測することは、長年の医学的課題でした。腫瘍微小環境における免疫細胞の空間分布は患者の予後において重要な影響を及ぼしますが、これまでの臨床評価システムではこの要素が十分に考慮されていませんでした。

中国科大チームは、61人の患者の肝臓がん切片に基づいて、網羅的なトランスクリプトームと空間オミクスを統合した解析を行い、「TIMES」スコアシステムを構築しました。この世界初の空間免疫情報を統合した肝臓がん再発予測ツールは、「Tumor Immune MicroEnvironment Spatial」スコアシステムの略称で、免疫細胞の空間分布が全体的な数よりも臨床予後を決定する上で重要であることを証明し、腫瘍微小環境評価における新たな方法を開拓しました。

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臨床での利用を容易にするため、チームは世界中で利用可能なオンラインプラットフォーム(https://sun.times.ustc.edu.cn/)を開発しました。医師は患者の肝臓がん組織の標準的な病理染色画像またはデータをアップロードするだけで、TIMESスコアと再発リスクを含むレポートを取得できます。

現在、TIMESシステム関連の中核となるアルゴリズムとモデルは特許保護を受けており、研究チームは臨床応用における標準化を積極的に推進しています。医師に新たな臨床意思決定支援ツールを提供し、限られた資源の下で患者にとって最適な治療計画を策定し、この成果をより多くの患者に恩恵をもたらすことを目指しています。