先日、インテルは業界を震撼させる決定を発表しました。2025年までに100億ドルのコスト削減計画の一環として、世界で1万5000人の従業員を削減するということです。この人員削減は、今年第4四半期から開始される予定です。
インテルは現在12万5000人以上の従業員を抱えており、今回の削減は15％に相当します。この発表を受け、同社の株価は急落し、時間外取引では約20％も下落しました。インテルは、2026年までに研究開発費とマーケティング費を大幅に削減し、今年の設備投資も20％以上削減すると発表しています。会社は再編を行い、不要な業務を停止し、現在進行中のすべてのプロジェクトと設備を見直して、不必要な高コスト支出を回避するとしています。
インテルのCEO、パット・ゲルシンガー（Pat Gelsinger）氏は、従業員宛のメモで、これは苦渋の決断だったと述べています。同氏は、主要製品とプロセス技術において画期的な進歩を遂げたものの、第2四半期の財務業績は依然として失望させるものだったと指摘しました。インテルは2024年第2四半期の損失を16億ドルと発表しており、前四半期の4億3700万ドルの損失から大幅に増加しています。
インテルの売上高は128億ドルで、前年同期比で1％減少し、純利益は85％減の8300万ドルとなりました。損失の主な原因は、チップ製造委託事業、つまり新工場と極端紫外線（EUV）リソグラフィ技術への巨額投資です。インテルのPCとサーバー事業は依然として利益を上げていますが、投資家は同社の赤字と黒字の間を揺れ動く業績に我慢の限界に達しています。
AI技術が業界の中核となりつつある現在、インテルのAI PC分野における展開は、市場における地位を転換するには不十分です。ゲルシンガー氏は決算説明会で、インテルのAI PCチップ「Lunar Lake」は現状を変えるには不十分だと述べ、来年は生産量を大幅に増やす計画だが、「Lunar Lake」は外部のウェーハ製造に依存しており、各チップのメモリも別途購入する必要があると説明しました。
さらに、インテルは技術的な競争において、NVIDIAやAMDに遅れを取っています。マイクロソフトはインテルのチップを放棄し、クアルコムのチップを選択しましたが、これはインテルにとって大きな打撃となりました。また、インテルは第13世代と第14世代のCPUのクラッシュ問題の解決に取り組んでいますが、リコールする予定はなく、マイクロコードのアップデートで解決しようとしています。
インテルの時価総額は約1212億ドルですが、チップ大手NVIDIAの2兆3800億ドルの時価総額と比べると大きな差があります。ゲルシンガー氏は、インテルの最優先事項は、長年の投資不足によって生じた技術格差を縮小するための取り組みを加速させることだと述べています。インテルは、四半期ごとに数十億ドルを投資することで市場を奪還し、2026年までに市場のペースに追いつくことを目指しています。
インテルの苦境は、長年にわたって蓄積された様々なミス、技術変革の機会の逸失、例えば2007年のiPhone発売によるモバイルチップブームや近年のAIブームなどによるものです。インテルの共同設立者であるアンディ・グローブ（Andy Grove）氏は「戦略の転換点」という概念を提唱しましたが、インテルはまさにそのような転換点に直面しています。
半導体製造分野では、インテルはトランジスタ製造プロセスの進展が遅れたため、徐々にトップの座から転落しました。PC販売の減少は終わっており、米国政府から最大85億ドルの資金援助を受ける見込みですが、ウォール街のインテルへの信頼は損なわれています。
インテルの未来は多くの課題に満ちていますが、同社は一連の変革的な措置を通じて、AI時代に自己改革し、新たな成長時代を迎えることを目指しています。
