投資界における伝説的人物、ウォーレン・バフェット氏が、テクノロジーの波における鋭い洞察力を再び示しました。バリュー投資で知られるバフェット氏ですが、主要2銘柄への投資を通じて、人工知能(AI)分野に静かに進出しており、市場の注目を集めています。

1965年からバークシャー・ハサウェイ社のトップに就任して以来、バフェット氏は独自の投資理念に基づき、投資家に驚異的なリターンをもたらしてきました。彼のリーダーシップの下、バークシャーの株価は年平均複利で19.8%もの上昇を記録しています。これは、1965年に1000ドルを投資していた場合、現在では4250万ドル以上に増えていることを意味します。バフェット氏は常に、収益力が高く、経営が優れており、株主利益を重視する成長企業を好んでおり、この戦略により「オラクル」の称号を得ています。

株価

しかし驚くべきことに、バフェット氏の重要な投資2銘柄がAI分野で頭角を現しつつあります。アップルとアマゾンというこの2銘柄は、3057億ドルの投資ポートフォリオの29.5%を占め、バークシャーのAI戦略における重要なピースとなっています。

世界の時価総額最大のテクノロジー企業であるアップルは、バフェット氏の投資ポートフォリオの中核を担っています。2016年から増配を始めて以来、バークシャーのアップルへの投資額は380億ドルから1700億ドル以上に増加しました。最近数ヶ月でバフェット氏は一部のアップル株を売却しましたが、残りの保有額は依然として883億ドル(投資ポートフォリオの28.9%)に上り、バークシャー最大の単一投資であり続けています。

注目すべきは、アップルが重要な転換期にあることです。世界で22億台以上のアクティブデバイスを保有するアップルは、AI技術の最大の消費者向け販売業者になる可能性があります。同社はOpenAIと協力して「Apple Intelligence」を開発しており、これを間もなくリリースされるiOS18に統合する予定です。この技術は、最新のiPhone16とiPhone15 Proに、スマートライティングツールやアップグレード版Siri音声アシスタントなど、革新的なAI機能をもたらします。

一方、アマゾンはバークシャーの投資ポートフォリオにおける割合は小さい(わずか0.6%)ものの、AI分野における展開は同様に注目に値します。アマゾンウェブサービス(AWS)は、世界最大のB2Bクラウドプラットフォームであるだけでなく、企業にとって最適なAIソリューションプロバイダーになることを目指しています。AWS独自のデータセンターチップTrainium、大規模言語モデルTitanシリーズ、AIアシスタントAmazon Qなどの製品は、アマゾンのAI分野における野心を示しています。

バフェット氏によるこの2社への投資は、AI分野に対する彼の先見性だけでなく、投資家にとって貴重な示唆を与えています。テクノロジーが急速に進化する現代において、競争優位性を持つ高品質企業への投資は、依然として堅実な成長への信頼できる道です。

バフェット氏が一部のアップル株を売却したことは、アップル社の将来への疑問というよりは、むしろ全体的な市場に対する慎重な姿勢を反映しているように見えます。現在のS&P 500指数は27.6倍のPERで、1950年以降の平均である18.1倍をはるかに上回っており、これがバフェット氏が比較的保守的な戦略をとっている理由の一つかもしれません。

AI技術の普及に伴い、アップルとアマゾンという2大巨頭がそれぞれの分野でどのように展開していくかは、投資家が注目する焦点となるでしょう。コンサルティング会社PwCの予測によると、AIは2030年までに世界経済に15.7兆ドルの成長をもたらす可能性があります。この巨大市場において、アップルとアマゾンは重要なシェアを獲得すると予想されます。

バフェット氏の投資ポートフォリオは、目まぐるしく変化するテクノロジー時代においても、バリュー投資の理念を堅持することで、新興分野で成長の機会を見つけることができることを改めて証明しています。アップルの消費者向けAI戦略、アマゾンの企業向けAIサービスへの深耕、いずれも投資家にAI革命に参加するための多様な選択肢を提供しています。将来、この2社はバフェット氏の投資ポートフォリオにおけるAIのスターとなり、バークシャーに大きなリターンをもたらす可能性が高いでしょう。