アメリカのソフトウェア企業、Adobe Inc.の株価が時間外取引で大幅に下落しました。その原因は、同社が発表した年間売上高予想が市場の期待を下回ったことによるものです。この発表は、競争が激化するAI分野でAdobeが市場シェアを失う可能性があるという市場の懸念を引き起こしました。Adobeの発表によると、2025年11月までの年間収益は234億ドルと予想されていますが、アナリストの平均予想は238億ドルでした。
Adobeはクリエイティブソフトウェアで知られる企業ですが、近年は製品に生成AI機能を追加しています。例えば、Photoshopなどのアプリケーションに同社独自のAIモデルであるFireflyを組み込んでいます。さらに、Adobeは年次ユーザー会議でビデオ制作用のAIツールを発表し、徐々に一般公開し、編集アプリPremiereに統合しています。
Adobeはまた、「高価格帯のFirefly製品」の発売も計画しており、この製品にはビデオモデルが含まれると、同社のクリエイティブ事業部門を率いるDavid Wadhwani氏が決算発表後の電話会議で述べています。同社の注目指標であるデジタルメディアの年間新規定期収益は、会計年度内に11%増加すると予想されており、これは市場予想と一致しています。最高財務責任者(CFO)のDan Durn氏は電話会議で、ガイダンスには「新しい階層型サブスクリプション製品と付加サービスの継続的な導入」戦略が考慮されていると述べています。
しかし、Adobeの見通しはやや保守的なものとなっており、その理由は「AIの普及速度に不確実性があるため」だと、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、Anurag Rana氏は述べています。Adobeの株価はニューヨーク市場の終値後、約9%下落し、549.93ドルで取引を終えました。年初来では7.8%下落しており、ソフトウェア業界の競合他社や市場全体を下回っています。投資家は、OpenAIやRunway AIなどの企業が発表したAIクリエイティブツールがAdobeの市場シェアを奪う可能性を懸念しています。
同社幹部や顧客はAdobeの新しいAIツールを高く評価していますが、モルガン・スタンレーのアナリスト、Keith Weiss氏は電話会議で、「投資家はそうした熱狂を感じていない」と指摘しました。第4四半期、Adobeは売上高が11%増の56億1000万ドルと報告しました。1株当たり利益(一部項目を除く)は4.81ドルで、アナリスト予想の4.67ドルを上回り、収益も予想の5億5400万ドルをわずかに上回りました。四半期末のデジタルメディアの年間定期収益は173億ドルで、アナリストの平均予想をやや上回りました。
要点:
📝 Adobeは2025年の年間収益を234億ドルと予想しており、アナリスト予想の238億ドルを下回っています。
💻 同社は製品に生成AI機能を追加していますが、投資家の新しいAIツールへの反応は低調です。
📉 時間外取引で株価が約9%下落し、投資家はAI競争の激化を懸念しています。