Cerebras Systemsは、人工知能(AI)推論能力の向上を目指し、北米とヨーロッパに6つの新しいデータセンターを建設すると発表しました。この取り組みは、同社の計算能力を大幅に向上させ、様々なAIアプリケーションの発展を支えます。

計画によると、計算能力の85%は米国に集中され、カリフォルニア州サンタクララ、ストックトン、テキサス州ダラスの3つの施設が既に稼働しています。その後、ミネアポリス(2025年第2四半期予定)、オクラホマシティ、モントリオール(2025年第3四半期予定)、アトランタ、フランス(2025年第4四半期予定)に新しいセンターが開設される予定です。

スーパーコンピューター データセンター (3)

画像出典:AI生成画像、画像ライセンス提供元Midjourney

新データセンターの中核となるのは、Cerebras社が開発した「ウェハー規模エンジン」(Wafer Scale Engine)です。これはAIアプリケーション向けに最適化された特殊なチップアーキテクチャです。同社によると、CS-3システムは、毎秒4000万トークンのLlama-70Bモデルデータを処理でき、推論タスクの処理速度を大幅に向上させます。オクラホマシティの施設には、300台以上のCS-3システムが配置される予定です。このセンターは、竜巻や地震に耐える3重冗長電源を備えたレベル3+の基準で建設され、2025年6月の稼働開始を予定しています。

現在、Mistral社(フランスのスタートアップ企業)とそのLe Chatアシスタント、AI質問応答エンジンPerplexityなど、多くの著名なAI企業がCerebrasと提携しています。HuggingFaceとAlphaSenseもCerebrasプラットフォームの利用に加わっています。この技術は、Deepseek-R1やOpenAI o3など、長時間の計算と大量のトークン生成を必要とする推論モデルに特に適しています。

今回の拡張は、Cerebrasの2025年全体的な拡張戦略の一部であり、一部の施設はUAEのG42社と共同で運営されます。モントリオールでは、ビットデジタルの子会社Enovumが管理する新しいセンターが2025年7月に稼働開始予定で、現在のGPUと比べて10倍の推論速度を実現する予定です。

Cerebras Systemsは、AIチップの開発に特化した米国企業です。その独自の設計理念は、ウェハー全体を単一のチップとして使用することで、現在、第3世代ウェハー規模エンジンWSE-3を発売しています。このシステムは、アルゴンヌ国立研究所、ピッツバーグスーパーコンピューティングセンター、グラクソ・スミスクラインなどの機関で使用されています。その技術は優れているものの、Nvidiaの標準であるCUDAをネイティブサポートしていないことや、サーバーの互換性がNvidiaのソリューションほど高くないことなど、いくつかの限界もあります。

要点:

🌍 Cerebrasは、北米とヨーロッパに6つの新しいデータセンターを建設する計画で、米国に重点を置いており、2025年の全面稼働を予定しています。

⚡ データセンターは、毎秒4000万トークンの処理能力を持つ独自のウェハー規模チップを採用します。

🤝 多くの著名なAI企業がCerebrasと提携し、その高速推論能力を活用しています。